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読書には4つのレベルがあり、それぞれのレベルに応じた読み方というものがある。その読み方、読書の技術について解説している。
どちらかというと、私が普段読んでいる小説・文学よりはビジネス本などを含めた理論書・技術書を読むときに参考になる内容でした。それについては後ほど書きますが、まず思ったことについて。読書の第一段階は初級読書で、初級読書の中でもさらに4段階に分かれます。1.読みかた準備期 肉体的、心的に読みかたを習得するための準備が整う時期 2.ごく簡単なものの読みかたを覚える 文脈をたどる、筋道をつかむなど 3.用語が急速に増え、文脈をたどって知らない単語の意味をつかむ技術を身につける 4.それまで習得した読書技術にみがきをかける 読書体験を自分のものにする 以上の4つですが、外国語を読めるようになるというのは、上記の段階の2?3の経験をたくさん積んで、語彙を増やし、知らない単語も推測できるようになり、文脈をたどることができるようになるということなのかな、と思いました。1.の読みかた準備期にあたることとしては、文法や発音の基本を知っていること、になるのでしょうか。今の私の英語の読書は、2段階目と3段階目をうろうろとしているくらいかなー。ここがこの話の要だろうというところで文意がとれなくなると、引っかかってしまいます。知らない単語の意味をつかむのもまだまだ苦手ですし、もう少し簡単な本をたくさん読んだ方がいいのかな。
読書の第二段階は点検読書ですが、ここでシェイクスピアの戯曲を読む例が挙げられています。各シーンごとに語彙集で単語を引いて、学者の脚注を調べて、というのがアメリカの高校生の典型のようです。日本での古典の授業や、英語の長文を読むときとあまり変わりません。まずは意味がわからないところは飛ばしてざっと読んで全体を把握し、そのあとから念入りに読めばよい、というのは多読と通じるところがあります。
第三段階は分析読書です。これがこの本のメインで、大部分のページが割かれています。大学のレポートや卒論を書くときにこの本を知っていれば、もっとましな内容のレポートや論文が書けたことだろうと思います。本を読むスピードや理解する早さの違いが学生生活のみならず、社会人となってからも成果をあげる早さ、成果の内容の違いを生むような気がします。今から思えば、学生時代の読書は点検読書止まりだったのかな。大まかに本の内容を理解はしていたと思いますが、本の内容を批評するところまではできていなかったかも。
高校生か大学生がこの本を読むのが一番得るものが大きそうな気がしますが、社会人でも読書を通じて新しいことを学ぼうとしている人や物事をより深く理解しようと思っている人には、得られるものがあるのではないかと思います。
- 2009-04/30 13:42
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